人が刃物だと気付いた時、僕は一人だった


人は刃物だと気付いた
鞘なんてない。抜き身の刃物だ
でも、誰もそのことに気付かない。気付けない。
自分という刃物を
世界を傷つけ、家族を傷つけ、友を傷つけ、最愛の人を傷つけた。

人は刃物だと気付いた。
鞘なんてない。抜き身の刃物だ。
鞘なんて必要がないから、抜き身で常に構える。
自分以外の存在が怖いから、傷つける。
傷つけられた相手は、傷つけた相手が怖いから、刃を振り下ろす。
そして、人は傷つけ傷つけあい、
そして誰かが、怖いから…自分以外が怖いから、殺してしまった。
それを見た人は、殺人を犯した人が怖いから、その人を殺す。
それを殺した人をさらに殺す。

殺し、殺され、そして最後の一人になった。

ようやく気付いた…

人は刃物だった。
世界を傷つけ、家族を傷つけ、親友を傷つけ、最愛の人を傷つけ、
そして
最期には自分を殺した。
自らの罪が怖くて殺した。

あぁ…人は刃物だった。
怖いから人を殺し、
殺した人が怖いからそれを殺す。
それが怖くて殺す。

殺し、殺され、最後の一人にならなきゃ気付けない。

僕たちは、刃物だった…

(はち仔さまよりリクエスト。ノージャンルということなので、自由に書かせて頂きました。すみません暗くて…)

=目次へ