たぶん…いや、絶対に
僕は立ち止まっていたんだ
この、終わりのない物語から逃げるためなのだろうか?
逃げても逃げ切れないから、立ち止まったのだろうか?
分かっていた、そんなことでは逃げられないなんて…
自分が一番理解していた筈なんだ

だったら、と自嘲気味に笑って僕は歩みだす。

そんな、逃げられない、終わりの見えない物語。
終わりが見えないなら、終わりを見なければいいのだ。
逃げ切れないなら、何も逃げる必要なんてなかったのだ。

そう、終わりが欲しければ、自分で作ってしまえばいいのだと……

だから、僕は止まっていた足を動かした。
錆付いて、ギシギシと軋むけれど、やがてその音は消えるはずだ
心地よい風が、追い風となって僕を勇気付ける。

錆付いた針は、僅かに動き始めた。

その時初めて知った。
人は、僅かな揺らぎでも変われるのだと……


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