破壊の剣と、処刑人の絶望


廃屋のなかの小さな扉その奥に消えた少年は今何処で何をしているのでしょうか?
世界は変わらずに、終焉を迎えた。
扉の先に消えた少年が戻ってきた。
彼は、終焉を迎えた世界の中でそっと呟いた。
帰ってきても、何も戻らないのだ。

世界は何処までも無常で、我々の世界を壊しつくしていった。
神だけは、我々を救ってくれると信じ、過ごしてきたが、それも無意味だと、悟った。
少年は手に握った剣を振り下ろす。
自分の世界への最後の手向けは、自分が行うと
そう呟いて、少年は世界を壊した。

数年後、とある世界で少年は呟いた。
ここでも、まるで世界は何も変わらない。
自嘲するような笑みを浮かべると、少年は再び剣を振るう

いつしか、少年は世界を壊して歩くようになった。
世界を壊すことが、自分の全てであり、それが世界の理であると信じるようになった。
実際はただ、壊すだけで、何も産まれない、そんな無意味なことをしているだけだとも気付かずに、少年は剣を振るう。
何時しか、彼は数多の世界で、こう呼ばれるようになった。

――処刑人と…

少年を知るものはいなかった。
彼は遥か昔に、扉の向こうに消えた。
当時を知るものは、皆、死んだ。

少年を新たに知ることは出来た。
だが、それを後世に伝えることは出来なかった。
彼は、訪れた世界全てを、破壊し、皆、死んでいく。

少年の孤独を救う者はいなかった。
いたとしても、少年が気付く前に全ては闇に消え
振るった剣が、全てを破壊する。

少年は渡る。
数多の世界を
骨の髄まで染み渡った絶望を、嘆きを、自らの剣先に集め
放っていく。
そして、放った先に生まれる、絶望を、再び身に背負い
少年は、終わることの無い、絶望に嘆き、悲しみ、そして、吐き出していく。

終わりは、少年の死が先か、全ての世界の死が先か…
少年は、自らの行動の無意味に、何時、気付くのだろうか…


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