白銀を愛した男は言った
冬があるからだ

白銀を愛した女は言った
冬があるからよ

二人は似ていた

二人は
冬を愛し、冬に殺された

白銀の街に舞い散る六花
あの時の男と女のように
白く儚く脆い

指で触れるだけで消えてしまう
白銀の幻想

まるでそれは、世界の理の様

冬の街に降り注ぐ六花
私は一人佇み、舞い散る六花を見る

いつかの二人を思い出す
二人は死んでも、幸せそうだった

この冬が何時までも続くから

春を迎え
夏を越え
秋を煩い
冬を喜ぶ

それが二人の生き様で
私もそれを見た

それが楽しそうで
幸せそうで

見ていて微笑ましく
残酷で

悲しくなるほど無邪気に
そして死んだ

六花が頬に落ちる
肌の熱に溶け
まるで涙のように、流れた


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