幻想は真実に最も近かった
街に佇み思う。
私が思うものは何?
秋の匂いが残るこの街
私の願いは何?
鈴の音が響き始めたこの街
私の描いた幻は何?
白銀に染まった街を、私は歩く
一つ、歩くたびに、私の描いた幻想は消えていく
雪が、皮膚に触れて、溶けるように
私が描いた、幻想は雪のように消えていった
このまま、私自身も消えてしまうのでないか…
そんな不安が、胸をよぎった
だが、それは杞憂でしかない
私の前に佇み、微笑む男
彼が居る
私の前に、彼がいる
たった、それだけのことなのに、酷く、安心する
街に佇み思う。
私が思うものは何?
秋の匂いが残るこの街
私の願いは何?
鈴の音が響き始めたこの街
私の描いた幻は何?
白銀に染まった街を、私は歩く
一人ではない
彼と一緒に
何時までも
何処までも
最後まで
私は彼と歩み続ける
○=目次へ